2021-01-01から1年間の記事一覧

徒然

高邁な精神はいつか全てを薙ぎ倒しながら、世の中を歩んでいく。しかしそれは高邁であるがために、いつかが来ないことを待っていられずに考えを変える。価値観は転換し、自らを喪う。自分というものの絶対性を見失う。歩みは時として止まり、走ることもあっ…

日本語作文備忘録

注:この記事は基本的に自分用の備忘録で、さらには 「この辺りのポイントにだけ気をつけていれば受け取り手に親切な文章が書けるかもよ」ってのを人に伝えるための記事です。多分、どんどん追加していく。noteに移行して目次つけたいかも。 誤読されない日本語…

全貌

水の底のような部屋、中央あたりに在る、沈むように深い灰色の座椅子、私はいつもそれに座り、その時惹かれる本を読むことをよくした。そして、日付けが変わる頃にカーテンを開けるようにしていた。ある時には遠くに月が見えた。そういう時には、部屋の明か…

【プ】水面に犬が沈む日に

登場人物 ミズ:女性 26歳 新卒で入った会社を人間関係の悩みで辞めて現在、祖母が暮らしていた海辺の家に犬のナラと暮らしている。 ナラ:会社を辞めたタイミングで会社の元同僚からミズが譲り受けた中型犬の子犬。人懐こく可愛い。 物語はミズが海辺の家で朝…

希望未来幸せそれに類するもの

部屋の中では死んだように生きていた。塾講のバイトが21時30分に終わって家に帰ってからは、自炊する元気も気力もない。適当にテイクアウトを買って帰るかコンビニで買うか。自炊するには何段階かの気力のステップが必要で、それはキッチンの水道をひねるこ…

帰省

自分には、親の顔色を窺う癖がある。というのも、母親が癇癪持ちで、父親と母親が喧嘩した夜などには母親は泣いて錯乱し、台所に蹲り、右手に包丁を握り、それを自身の左手首に押し当てているという光景に幾度となく遭遇してきたからだ。 私が小学校三年生の…