「人面魚っておるやんか」
「おるなぁ」
「アレ、ちっさい頃に家で飼っとったんよ」
「ペットの話なん?」
「あ、いや家族として」
「じゃあ飼うとか言わんとってほしいなぁ」
「そんで中学生の頃に死んだんよ」
「死に顔はどっちやったん」
「「人(じん)」として死んでったわ」
「切り替え式の人面魚も今どきようおらんらしいな」
「らしいな、時代って感じする。ウチで飼っとったんが最後やったんかもな」
「ラスト人面魚」
「ラスト人面魚」
「ラスト人面魚で思い出したんやけど、皇帝になってみたいんよな」
「ラストエンペラー絡みでな」
「皇帝になるとしたら第3代が良いなぁって思ってる」
「2がやらかすから?」
「そう、話早くて助かるわ」
「ギャップで優秀だと後世に語り継がれがちやから楽よな」
「そう、そいつ多分お父さんとかなんやけど、お父さんの作った穴を埋めていくだけの簡単なお仕事やん」
「ってことは自分が生まれる前の段階でなんとか父親を無能に育て上げる必要があるな」
「そうなんよ、初代への働きかけが必要で」
「輪廻転生な話やな。前代の自分が何とかしてくれるかどうか勝負って感じ こっちから働きかけるのムズそうやなあ 練習しとく?」
「やってみよ。じゃあ私が輪廻やるから」
「私が転生?そう分かれるの珍しいけどな」
「分け方苦手なんよ、「人面」と「魚」って分けてまうし」
「実質的に「人」と「魚」を創造しただけやん」
「輪廻転生よりそっちが気になるわ、天地創造入門で習わんかったん学校で」
「やっとったんやろうけど覚えてないなぁ、ゴリゴリの堕天期長かったから」
「堕天期めっちゃヤバかったんやろ?ほらパルテノンの」
「あ〜そうやな、パルテノン神殿の天井全部壊したんはやりすぎた」
「パルテノン神殿、写真見る度に青空教室感パないからな」
「あれくっそ怒られてしばらくワイン抜きやったわ、血で賄ったけど」
「晩餐入門はちゃんと受けとったんかい」
「教室でみんなでパン食いまくれるのアレだけやからな、楽しかったわ」
「うちの先生毎回「これが最後ですよ、最後ですからね」って擦ってきてうっとおしかったわ」
「自分らがもし最後の晩餐ってなると何食いたいかって話するよな」
「したわ、私は先生に聞かれた時はハンバーグカレーって答えた」
「欲深い。んなもんさっぱり目な飯言っといたらセンス良い感じに収まるんやから」
「何答えたん君は」
「さっぱりすだちうどん」
「さっぱりって言うてしまっとるやん、しょーもな。食べ物として機能してるの唯一うどんやであんなん、「うどん」って言っとけよ」